秘湯へ続く山道で出くわしてしまった先客の事情
山あいの一軒宿を目指して、バス停から40分の山道を歩いていた時のことでございます。5月の新緑が美しく、沢の音を聞きながらの一人旅。静寂。鳥の声。足音。 道が大きくカーブする所で、ふと視線を上げますと、10メートルほど先の杉の木の根元に、リュ…
分類
小の方にまつわるエピソード。おもらし・野ション・我慢の攻防。
全105話
山あいの一軒宿を目指して、バス停から40分の山道を歩いていた時のことでございます。5月の新緑が美しく、沢の音を聞きながらの一人旅。静寂。鳥の声。足音。 道が大きくカーブする所で、ふと視線を上げますと、10メートルほど先の杉の木の根元に、リュ…
先週の土曜、渋谷のクラブでオールした帰りの話きいて。朝四時、テンションおかしいまま友達と道玄坂下ってて、うち、テキーラのあとに水がぶ飲みしたから膀胱がもう爆弾なんよ。フロアで踊ってる間はアドレナリンで気づかんかったけど、外の冷たい空気に当た…
金曜の深夜一時、残業帰り。あの公園の夜から、私は遠回りして帰るようになってしまった。まっすぐ帰る道より、少しだけ遠い道を選ぶこと。それが自分でも気づかないうちに、習慣という名の秘密になっていた。 その日は多摩川の河川敷を選んだ。土手の下の草…
お恥ずかしい話を、ひとつ告白いたしますね。私たち夫婦は月に二度ほど、あてのないドライブに出かけます。その日は奥多摩の峠道でした。紅葉には少し早い十月、平日の午後。出発前にコーヒーを二杯も飲んだのがそもそもの間違いだったのかもしれません。山道…
初めて投稿します。誰にも言えなかったことなので、ここに書かせてください。大学4年の夏、ゼミ合宿で伊豆の旅館に泊まった時のことです。私は当時22歳、卒論のことで頭がいっぱいの、ごく普通の女子大生でした。 夜、先生の部屋で発表の講評会があり、緊…
二月の、粉雪の舞う晩のことであった。なじみの店が満席で、仕方なく横丁を二本ほど北へ歩いた。息が白く、靴底に雪の軋む音だけが響く、静かな夜だった。時刻は十一時を回っていたと思う。 裏手の月極駐車場の脇を通りかかったとき、車の陰に人影が見えた。…
てかさ、夏フェスのトイレ問題どうにかならんの?って毎年言ってるんだけど。去年の山のフェス、昼のピークで仮設トイレ百人待ちなんよ。百人て。推しのステージ三十分後に始まるのに並んでたら人生終わるじゃん。 しかもうち、その時点でもう下腹やばくてさ…
銀行勤めの29歳です。先々月の金曜びの話を、恥を忍んで書かせてください。 支店の飲み会で、ビールを3杯、ハイボールを2杯。一次会でおとなしく帰るつもりが、送別の挨拶やらで店を出たのは23時前でした。トイレ?もちろん店で済ませました。済ませた…
標記の件、今回は職員側の、それも同僚の奮闘の記録でございます。8月のオープンキャンパス当日、私は運営本部の責任者代理を務めておりました。来場者は保護者と受験希望者で約2000名。炎天下の中、気温は35度を超え、キャンパス全体が朝から慌ただし…
昨年の11月、紅葉で有名な渓谷への日帰りバスツアーに参加した時のことでございます。朝6時出発、予定では14時帰宅。行きは順調でしたのに、帰路の山道で事故渋滞に捕まりまして、次のトイレ休憩まで3時間動かないという事態になりました。ラジオが延々…
うちのビルの4階トイレ、女子個室の鍵がずっと調子悪くてさ、閉めたつもりでも中でカチッてなってないことがあるの。管理会社に言ってるのに全然直らないんだよね。月に何度も不具合報告してるのに。で、この前のlessen前、私がトイレのドア開けたら、…
年に一度の蔵書点検の時期、司書は地下の閉架書庫に半日籠ることになります。これは昨年10月、私自身の話でございます。地下2層の書庫は携帯の電波も届かず、トイレは地上階まで階段で4分。作業は2人一組で、抜けるときは声を掛け合う決まりです。その決…
受付をしておりますと、ロッカーの番号でお客様を覚えることがございます。この話の主役は113番のお客さ様です。日曜の午後、20代前半の女性3名様グループがご来館されました。派手めなネイルにゆるくウェーブをかけた髪、ギャルっぽい元気な方たちで、…
日曜の早朝5時40分、いつもの河川敷でカワセミの定点観察をしていた時の記録である。気温は12度、川霧が薄く出ていた。双眼鏡は川面の杭に向けていた。 ふと肉眼の視界の端、堤防の上のランニングコースに、女性ランナーが入ってきた。30歳前後。上下…
8月2日、隅田川花火大会。晴れのち薄曇り、風やや強し。打ち上げ終了直後の帰路の混雑は毎年感測しているが、今年も駅までの道は歩行速度が時速1キロを切る飽和状態であった。この「動けない群衆」こそ、限界事例の多発地帯である。火薬の匂いがまだ夜気に…
これは書くべきかずいぶん迷ったのですが、匿名なので書きます。3月の歓送会の帰り道の話です。 駅までの夜道を、仲の良い先輩と二人で歩いていました。33歳の既婚の方で、普段はきっちりした紺のスーツをさらっと着こなす、支店で一番きれいと噂の人です…
4月2日、上野恩賜公園。晴れ、風弱し。ソメイヨシノは満開を2日過ぎた頃で、園内は夕方の時点で既に飽和状態であった。私の定点は噴水広場寄りのベンチ。ここは公衆トイレへの動線が交差する要衝であり、観測には最適である。花びらが夕風に乗って絶えず舞…
旅行会社で添乗員も務めております。バスツアーで最も神経を使うのは行程でも食事でもなく、お手洗いの間隔でございます。特にご年配のお客様が多いコースでは、90分に1回の休憩が生命線となります。昨秋の紅葉ツアーでのことでございました。 行楽シーズ…
地方公演の遠征で夜行バス(4列シートの安いやつ、トイレなし)に乗った時の話です。23時新宿発、翌朝6時着。5時間と48分の戦いですね。 トイレなしバスの掟は「SA休憩2回を絶対に逃すな」なんですが、わたしは1回目の休憩(1時半)を寝過ごしま…
六月の終わり、雨が上がったばかりの深夜零時半。緑道の遊歩道は濡れたアスファルトが街灯を映して、ずっと先まで光の帯になっていた。こんな夜は、歩いているだけで胸の奥がすうすうする。雨上がり特有の、土と緑と少しの黴の匂いが混じった空気を吸い込むと…
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